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パイプとステッキ

 海外旅行の行き先で、いつからかパイプとステッキを買う習慣がついてしまった。
 以前は飛行機の中でも喫煙ができたのだ。ワインやブランディー、それに好きなウイスキーを機内食後も飲み放題で、やおらパイプを出して吸うこともできた。
 だが海へのダイビング後にクルーズの甲板で、潮風に吹かれて吸うか、海辺のアーミングチェアーに寄りかかって、日本製の「飛鳥」などを吹かすのは、とても快適なひとときなのだ。
 目の前に広がる亜熱帯の海原を眺め、熱い太陽に肌を灼かれながらパイプを吹かす。
 キューバでは葉巻工場で葉巻をワンケースと重たい石の灰皿を買った。陽射しは穏やかで、沖合にのびた桟橋を歩き、その突端に粗末だが瀟洒なバーがあった。
 まわりは静かな海、白いテーブルと椅子にはリゾートに来た客が数人、のんびりとした日光浴を楽しみ、若い男と女は長い手足をのばして、ゆったりとした会話で白い歯をみせて頬笑んでいる。
 キューバはラテン系で陽気である。それに形のいい尻が高い背を一層ひきたて、スペインの血が混じっているので女性は美人が多いところだそうだ。
 パイプが流行ったのは、紙タバコが肺癌を引き起こすという風説が流れてからだそうだ。一時は琥珀のダイヤモンドと持てはやされたこともある。いずれにしろ世の中が平和でのんびりとしていなければならない。戦場では便利な紙巻タバコが人気だった。
 映画「カサブランカ」には、ハンフリーボガードが独特な手つきでこの紙巻きを吸うシーンがある。親指と人差し指で挟む吸い方だ。映画「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンは、中指と人差し指で優雅にタバコを挟んでいたような気がする。
 いずれにしろ、もう全世界中の文明国が禁煙の世の中だ。
 
 ステッキはパリの蝋人形館の隣りの骨董屋で買ったことがある。
シチリヤ島でも、スペインでも買った。若い頃、腰椎で入院したときに歩くのに二本のステッキを利用したことがある。一本が犬の頭をしているものだった。ポルトガルで買ったのは、とても疲れていたせいだった。英国でも買ったがヒースロー空港に忘れてきた。
 メルシャムのパイプを買ったのも英国だったが、日本へ持って帰ってきたら、気候の加減のせいなのか使いものにならなかった。
 パイプのひとつは伊豆の島へのダイビングの帰りに、甲板から革袋ごと海に投げ捨てたやつがあった。あれは苦い思い出だった。
 「パイプのフォークロア」という本がある。あの梅田望夫のお父さんが書いた一冊だ。むかし書いた詩を思い出した。


  パイプ

僕は作家のパイプではない。
気ままに握られ 銜えられ
鹿の毛皮で念入りに 愛撫されなどしていても
ご主人の苦い表情にうろたえる お鼻のさきの小童者。

書棚の裏に忘れられたり
ときに船のデッキから
昏い焔に沈む 夕暮の海へと投げ捨てられる
嫉妬に狂った主人の手で 黒い革袋につめこまれたまま。

ところで僕の仲間はいろいろある
フレンツェ生まれや パリ野郎
女ひとりの冬の旅 みやげにもらったニューヨーカー。

さて僕の務めは葛の葉の うらみがおなる心をば
強い馨と紫煙でつつみ しっぽり下草からまりあわせ
気ぜわしげなる世の中に ひとときの甘い恋の夢路をたどる。



パイプ1 パイプ2
パイプ3 パイプ4
ぱいぷ6
 
ステッキ1 ステッキ2
ステッキ3 ステッキ4
ステッキ5 ステッキ6  ポルトガル製

プロフィール

masuryuu

Author:masuryuu
仮に「異邦人」としておく。あられもない空想から、科学的「真実」まで、詩、小説、歴史、哲学、政治、経済、趣味等、この世の人事、出来事、万般に、興味を寄せる者の総称とします。

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