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加藤典洋(1)

 1995年「敗戦後論」で戦後50年の歴史認識を問い直し、斯界に衝撃を与えた批評家の加藤典洋が、2017年10月に原稿千枚超の「憲法9條論」を脱稿後、体調をくずしたまま、その後2年足らずの享年71歳で世を去るとは誰も思いも及ばなかったことであろう。「もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために」(以下「尊皇攘夷思想」と略する)は2017年の8月に刊行された。この本のサブタイトルは「丸山眞男と戦後の終わり」というのである。「尊皇攘夷思想」はこの本の第一章題「21世紀の日本の歴史感覚」の冒頭、「300年のものさしー21世紀の日本に必要な『歴史感覚』とはなにか」の講演とセットになっている。加藤が「敗戦後論」からほぼ20数年後に刊行した「尊皇攘夷思想」は、上記のように一見ものものしい形容がつけられているのは、20年の時間を経て著者の胸中に生成された「自画像」の真率を現わしているだろう。実質的に加藤のこの最後の書物は、「Ⅱ スロー・ラーナーの呼吸法」「Ⅲ 『破れ目』のなかで」「Ⅳ 明治150年の先へ」という三つの章立になり、内容は著者の生涯の掉尾を飾るにふさわしい射程と深みを持った格調を示している。
 特異の思考からの反転と熟考を重ね、先鋭的ともいえる広い視野に亘るその批評活動は、1948年という戦後生れの一批評家に独特な陰影を形成している。この一文はその特徴ある批評家がたどった含羞さえ滲んだ誠実な思考の軌跡をたどり、その思考の明細に照明を当ててみたいというささやかな試みになるであろう。
 おおよその構成は以下の予定である。

1.「敗戦後論」(1995年までと、その後)
2.個別の批評活動(「日本人の自画像」2000年、「人類が永遠に続くのではないとしたら」2014年等)
3.「尊皇攘夷思想」(2017年から2019年5月まで)





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masuryuu

Author:masuryuu
仮に「異邦人」としておく。あられもない空想から、科学的「真実」まで、詩、小説、歴史、哲学、政治、経済、趣味等、この世の人事、出来事、万般に、興味を寄せる者の総称とします。

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