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「さらば、神よ」リチャード・ドーキンス

 なぜヒトは神を卒業(Outgrowing God)し、未来を科学とともに歩むべきなのか。思想・科学の分野に股にかけ、生物学者どーキンスがいまだ迷信を欲するすべてのヒトに贈る、脱宗教と科学への信頼の書と本の背表紙に記されている。そうであるかないかの判断は読者の自由な判断にかかっているだろう。

第一部は「さらば、神よ」(Goodbye God)は第六章まである。
 第一章では多くの神を列挙し、二章ではそれらは事実かと、聖書、特に「新約聖書」に書かれていることに疑問を投げかけ、三章では「旧約聖書」から生まれた神話とその道徳を洗い出し、四章では聖書の善良性を疑問に付し、第五章では善良であるためには、どうして神が必要なのかと問い、第六章になると、動物と同様に人間が進化の産物であるというチャールズ・ダーウィンへと幕が開かれている。
 第一部のすべての章を振り返り、著者はこう書いている。
「あなたは第一章のたくさんの神々もほとんど信じていないだろう。第二と三章で聖書やコーランの聖典には、信じるべき理由が示されていないと納得しただろう。第四、五、六章では、私たちが善良であるために宗教が必要であるという考えに決別したのではないか。しかしそれでも、なんらかの大いなる力、世界と宇宙、私たちを含めた生きものをつくった、なんらかの創造的知性を信じることにこだわるかもしれない。私も十五歳ごろまで、そのような信念に固執していた。なぜなら、生きているものの美しさと複雑さに深く感動していたからだ。とくに、生きているものはまるで「設計(デザイン)された」にちがいないように見えることに、感銘を受けていた。私がようやくすべての神々を見限ったのは、進化について学び、なぜ生きものがデザインされたように見えるか、その真の説明を知ったときだ。」
 こうして第二部のチャールズ・ダーウィンの説明対象である生きものと同じくらい、美しい説明という壮大なテーマへの扉が開かれるのだ。
 確かに著者の真の意図はこの壮大なテーマを展開することにあったのだと相応な知的な努力の末に、あなたは納得するだろうか。そのためには、できるなら第二部の「進化とその先」(Evolution and beyond)をお読みいただきたいと思う。そこには一流の英国風のウイットとユーモアにあふれた犀利な文章の波また波を泳ぐことになるだろう。そして、著者の結びのことばに行き着くにちがいない。
「私たちは勇気をもって大人になり、あらゆる神に見切りをつけるべきだと思う。そうは思わないか?」
 
 また参考までに、吉川浩満(文筆家)の的確にして簡潔な書評を、ここに引用させて頂くことに、何卒ご容赦を願いたい。
 現在小生、目の患いもあり、拙い紹介の不十分をすこしでも補いたいためである。伏して感謝を申上げたい。

「原題にある『アウトグローイング』という言葉は、子供が成長して服が着られなくなる様子を指す。知的に成長した人は宗教に飽き足らなくなる、というわけだ。
 だが、そう聞いて、なんだ子供向けの本かとあなどってもならない。哲学者イマヌエル・カントは、啓蒙とは人間が知性の未成年状態を脱すること、つまり自分でものを考えられるようになることだと言った。これは若者に限らず近代人すべての課題ではないだろうか。
 本書は大きく2部に分かれる。前半は神々の物語、なかんずく聖書とキリスト教の教義に関する詳細な解説と批判だ。作り話にすぎない宗教の教義がいかに人びとから自分で確かめ、考える力を奪っているかを熱心に説いている。
 だが、そう聞いて、キリスト教に縁の薄い日本人には関係ないやとあなどってもならない。良質な批判の多くがそうであるように、本書は批判対象であるキリスト教と西洋文化に関する優れた解説となっている。それだけではない。キリスト教徒であろうとなかろうと、われわれが本当に知性の未成年状態から脱することができているかどうかは必ずしも明らかではない。
 震災、原発事故からコロナ禍にいたるまで、はたしてわれわれは成年にふさわしい知性を発揮してきただろうか。相変わらず誤情報や怪情報に踊らされ、世間の空気におびえてはいないだろうか。本書後半で展開される進化生物学に基づいた科学的思考のレッスンは、われわれが知性の未成年状態を卒業する手助けをしてくれるだろう。
 ドーキンスのファンにもアンチにも、子供にも大人にもお薦めしたい科学的思考の教科書である。」






プロフィール

masuryuu

Author:masuryuu
仮に「異邦人」としておく。あられもない空想から、科学的「真実」まで、詩、小説、歴史、哲学、政治、経済、趣味等、この世の人事、出来事、万般に、興味を寄せる者の総称とします。

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