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詩「ジムノペディ」

       ジムノペディ


   古い港町 オンフルール
   昔懐かしい 友よ

   あの世とやらへ君が行ってから
   はて もう十幾年が過ぎてしまったらしい
   この歳月に 世界は凄まじく変わったという

   ああ だが君がくれた ジムノペディ
   そのテープは いまも私の部屋のどこかで
   静かな三拍子の音曲を奏でている
   ぽつんぽつんと
   消えては現れる 遠い日の思い出のように

   ある日 君は私の家に泊まって
   ピアノを弾いた
   あれは 大岡昇平作曲 中原中也の
   「雪の宵」だ
   ーホテルの屋根に降る雪は・・・・

   私にピアノを教えてくれた先生は
   美しい老嬢で
   二人でお茶を飲んで
   哲学の話しをして 門をでると
   冬の空の星が とても綺麗に光っていた
   そんな 昔の日々を 思いだす
   君と一緒に

   仮借なく君は 私を評して言ったものだ
    ーあなたは 人生からなにも 学ぶものはないと
   突然に あの世へ旅だった
   君が学んだもの
   それがいったいなにかを
   私は知りたいものだ
   四十二年の歳月と数篇の詩
   それだけなのかい

   サティの故郷 オンフルール
   私は悄然と君を思い 小雨ふる舗道に立つ
   煙りのように カモメが翔んでいく
   灰色の町とブータンのあの大空を

   ランボーの一枚のレコード
   君はいまも それを持っているだろうか
   私はもう一度 知っておかねばならないのだ
   三十年も昔の あの「地獄の季節」の行方を



    
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Author:masuryuu
仮に「異邦人」としておく。あられもない空想から、科学的「真実」まで、詩、小説、歴史、哲学、政治、経済、趣味等、この世の人事、出来事、万般に、興味を寄せる者の総称とします。

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