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旧い詩三編

朝の左右衛門橋から  早朝の神田川(左衛門橋より) 


        月光と風鈴


夏の終わり

軒下の風鈴が

月明かりに鳴る

ちるりーん ちるりーん


寝静まった古びた町の家並み

ほの明るい窓辺のひとつにもたれ


川の字になって寝入る家族

それに見惚れる男がいる


足音を忍ばせ 階段をあがる男は

部屋の中で夢みる影


遠い世界の彼方へ旅人は

独り燃えるランプを提げ

軒下の風鈴と月の光りが

どこまでも男の後ろをついていく




      娘よ


娘よ

大きくなれ はやく


おまえが

一人の女となるとき

父は もはや

若くはないとは 悲しいことだ


さあ、娘よ

大きくなれ はやく


美しく しっとりと

おちついた

おまえが 一人の女となるとき


父は

まだ生きて いるだろうか


さあ、娘よ

立て

しっかりとした

おまえの人生を

歩いていけ   



     昭和五十二年十月二十八日銀座 BRASSERIE DE PARIS 於








      春に寄せる       ーT君の結婚を祝して
  
            


春はエリモアのパイプの烟

風吹けば縹色空に消えゆく


春は海豹の欠伸に似て

水温む海を呑み

呆けき夢を吐き出す


月は流れ 日は失せゆけど

ふたたび帰りなん

 
おお 春よ   

季節よ



 
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masuryuu

Author:masuryuu
仮に「異邦人」としておく。あられもない空想から、科学的「真実」まで、詩、小説、歴史、哲学、政治、経済、趣味等、この世の人事、出来事、万般に、興味を寄せる者の総称とします。

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