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お爺ちゃんと熊谷守一

    守一1  寒山拾得(版画:熊谷守一)

 少ぼんやりとしか覚えていないが、結婚式に画家の熊谷守一の版画を専門にしていた彫り師が来賓にいた。大柄な体躯で禿げた大きな頭を光らせていたのを、かすかに記憶している。
  この人とどういう縁かで、養父は友人になったらしく二人で地方を旅行しては、円空の木彫りをこれはほんものだとかで、買わされていたらしいのである。そういう人だから、年中金に困っていて、いろんなものを持ってきては養父を困らしていたらしい。「寒山拾得」もそういうひとつで、他にも桜の板に好みにまかせて扇子状に彫った何点かの作品があった。

  守一2   守一3  彫り師の作品

 養父は熊谷守一が好みだったようで、銀座で個展を開催中の守一の娘さんの油絵を一枚買った。そのとき、一緒に同行していたが、どうしてこんなものを高額で買い込んでしまうのか疑問に思うほど、無造作に現金で手に入れ持ち帰るのだった。
 箱や紙袋をデパートや日本橋の店へ売って、幾人かの従業員を使う会社を作り、内職にも仕事をだして、日本の高度経済成長の波に乗って、一時は手広く商売をしていたようだ。娘二人が結婚して孫ができると、夫婦二人でやっていた仕事は、65歳になるときりよく辞めてしまった。それ以降は郊外に買っておいた土地に平屋の木造の家を建てて、夫婦で隠居暮らしをしてしまった。その家には囲炉裏をきり、天上から自在鉤が吊られ南部鉄瓶が下がっている小部屋を作って、畑からはキュウリや大根やナスを栽培する生活をしていた。

守一12-8 守一12-9 守一12-10

 庭には南天や椿、桃や柿の木を植え、ところどころに大きな石を置き、玄関までの細道の両側に、春、夏、秋の季節ごとに花を咲かせる植物を植え、一年に一度は剪定の職人を呼んでいた。
 
守一4 守一6
 
 養父はこの四月十八日で92歳となるが、一人で暮らしている。施設に入らず、どんな医療もうけない。一日おきに、娘が介護の世話に行っている。雨の日も、風の日も・・・・。

棚上の円空 円空本体 円空木彫り

木瓜 木瓜

 戦後も、養父は厳寒のシベリヤで数年を過ごしたのだ。



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仮に「異邦人」としておく。あられもない空想から、科学的「真実」まで、詩、小説、歴史、哲学、政治、経済、趣味等、この世の人事、出来事、万般に、興味を寄せる者の総称とします。

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