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温泉へいく

 錦秋の紅葉を見に温泉へ行った。白河から車で三十分、むかし白河の藩主松平定信公が愛でた温泉がここにあるのだ。
 三年まえに建てかえたばかりの全館木造の三階建ての窓から、向かいの山を見上げれば、青い空のしたに全山紅葉の山肌を見ることができる。広い部屋の窓際には、電気炬燵が切られそこに下半身をしずめてぽかぽかと、持参した文庫を読み耽る。疲れればどたりと横になり睡りほうだい。いい気分でまた紅い山肌にみとれて、ぼんやりとする。動きたくもなし、考えたくもない。全身脱落、無心放下。清新な空気。閑かなことこのうえもない。
 ただ一冊の文庫、上田三四二の「この世 この生」から、「遊戯良寛」を再読する。
                                                                              
生涯懶立身  生涯身を立つるに懶く
騰騰任天真  騰騰天真に任す
嚢中三升米  嚢中 三升の米
炉辺一束薪  炉辺 一束の薪
誰問迷悟跡  誰れか問わん迷悟の跡
何知名利塵  何ぞ知らん名利の塵
夜雨草庵裡  夜雨草庵の裡
双脚等間伸  双脚等間に伸す
                                                                               
著者は死線を越えた大患のあと、西行や良寛などに自分の精神を解き放つ。その浄心、自在、楽逸の文章が、みごとに私を寛がせてくれる。円還する時間と空間のあわいに、この須遊の人生を覚知する。

沫雪の中にたちたる三千大世界(みちあふち)またその中に沫雪ぞ降る
つきて見よひふみよいむなやここのとをと納めてまたはじまるを

 上田氏の良寛の世界へ寄り添うすがたは、紅葉の山肌を抱く山霧のような慈愛をみる思いがする。

 こんどは春に来ることを約し、甲子山を眺めて一句を詠む。


        山肌を眺めて あかき水車(みずぐるま)
 



                        甲子旅館
温泉風呂場 大風呂(混浴)
                       甲子花
DSC02267.jpg
                       甲子花
 


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仮に「異邦人」としておく。あられもない空想から、科学的「真実」まで、詩、小説、歴史、哲学、政治、経済、趣味等、この世の人事、出来事、万般に、興味を寄せる者の総称とします。

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