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遺品

 人の持ち物とは、その人の付着物のようなもので、本人もとうに忘れていることが多い。残された遺品となると、もはやその人の生きてきた証というほかはない。
 故人の家の中を整理していたら、記念のコインやお年玉の切手、それに江戸や明治の古銭から、むかしの文人たちの詩や版画が出てきた。その中から画集や詩画集の一部を写真でご覧いただこう。


 再・熊谷1 熊谷アリ 熊谷守一
 遺品3 遺品4 鈴木啓之
 遺品5 遺品6 林光則
 遺品7 遺品8 南雲今朝雄
 遺品9-風・詩集 風ー2 清水遊谷
 石臼1 石臼2 田中冬二
 牧商店 工藤1 工藤甲人

 工藤工人の絵画「鷺」他、熊谷守一、笹島喜平の画集、田中冬二「石臼の歌」、清水遊谷・詩画集「風の歌」、林光則・詩画集「蔓」、鈴木啓之・詩画集「そばのふるさと」、小田島十黄・詩画集「南雲今朝雄二行詩」など、ふるき一時代の味わいふかい詩と画をみることができた。棟方志功の版画もあった。
 たぶんこれらは、故人も自らその工程に携わったことは、自社の名前をそのおくつきに見ることができることから知られるが、同じ町に住んでいた友人であった熊谷守一の刷り師(五百旗頭欣一)から、譲られたものにちがいない。もちろんこういう世界に故人も惹かれていたのだろう。五百旗頭欣一は故人から聞いていた人物像とは違って、一人の瞠目するにたる詩人で、その校友の範囲は広く、「荒地」派の詩人たちから西脇順三郎にまで及んでいた。
 たくさんの詩の中から、ひとつだけをここに書き起こしておきたい。ぽっこり空いた胸へ、つぶやき、ひびくものがあるだろう。


           四月の歌

    波打ぎわの
    磯邊に

    老婆が鹿尾菜(かじき)を
    つんでいた

    笊(ざる)の中味は軽く

    海原(うみ)の風はまだ

    つめたかった



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masuryuu

Author:masuryuu
仮に「異邦人」としておく。あられもない空想から、科学的「真実」まで、詩、小説、歴史、哲学、政治、経済、趣味等、この世の人事、出来事、万般に、興味を寄せる者の総称とします。

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