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笹島嘉平版画作品

 一度だけ、部屋に広げて屏風を見せてくれたことがあった。その笹島嘉平という版画家の作品集が遺品を整理して出てきた。解説は河北倫明、復刻は五百旗頭欣一とあった。
昭和39年11月の毎日新聞の記事によると、木目の味わい、彫刻刀の切れ、和紙のにじみ、微妙な色の変化が珍重されていると記されている。笹島氏は世阿弥の花伝書や芭蕉の俳論に教えられ、簡潔な造形の中に、ゆたかで激しい詩情と素朴な精神性を託している。黒白木版画としては、かなりの境地に達したものだと、賛辞を呈している。美術出版社から300部限定、二万五千円だそうだ。
 木版画は複製技術の芸術的な所産であり、その宿命が一般絵画のような印刷を拒否しているとして、この作品集はいわばナマの個展だと、「金色夜叉王」を写真で掲載している。
 河北倫明は、笹島氏の先輩版画として平塚運一と棟方志功の二人をあげ、前者と後者の中間点に笹島氏を位置づけ、しだいに棟方の方向を辿るが、作者らしい自然観照のうえに独特の直裁な形をなしたと見ている。日本古芸術の道にそう黒白木版はここをめざして成立しているとして、この近代版だと指摘する。「平塚式よりもいっそう木訥で、棟方式よりもさらに謙遜な作者独自の行き方に」特質を絞っているのだ。
 写真撮影も楽ではなかったが、その一部をご覧いただきたい。なお、五百旗頭欣一氏は養父の長年の友人であり、共に旅をしたパトロンでもあった。家に様々な骨董の類いを持込み、養父から金を引き出させて養母の顰蹙を買っていたらしい。旅先で円空の一刀彫りを見つけてこれを養父に売りつけた。その円空はいま京都に住む次女がマンションの部屋に置いて、毎朝に水をやって拝んでいるらしい。巨躯にして禿頭のこの人は、私たちの明治記念館の結婚式に、和歌を詠んでくれた姿をおぼろに思い出す次第である。
 

笹島1 hannbann sasa3.jpg sasa女



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仮に「異邦人」としておく。あられもない空想から、科学的「真実」まで、詩、小説、歴史、哲学、政治、経済、趣味等、この世の人事、出来事、万般に、興味を寄せる者の総称とします。

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