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いい映画は匂いで分かる

A:いいアメリカ映画をひさしぶりに観たよ。そいつは匂いでわかるんだ、いいものだってね。
B:広告は信用できない、それは食わせ物だからさ、でなんていう映画だい。
A:2008年、クリント・イーストウッド監督の「グラン・トリノ」。アメリカが金で金を稼ぐ世界一の国になったとき、その崩壊の予兆はこの映画に現れている。妻を亡くした初老の男が主人公だが、二人の自分の息子と孫とは、戦争の傷跡を負った男には、うまくつきあえない。息子たちは男を老人ホームへやり、わずかな財産が欲しく、孫は男が大事にしている72年製のフォードのグラン・トリノに涎をたらしているのに、男は嫌悪しているからさ。フォードに50年勤めた男の子供は、いまでは日本車のセールスをしているんだ。それでポーチで缶ビールを飲み、煙草を吹かしているんだが、隣近所はヴェトナム戦争に協力したモン族がアジアから追われて住み着いているってわけ、彼等は自分達の伝統と独特の風習に暮らしているので、男には最初「野蛮人」にしか思えないが、近所の黒人に強迫され、仕方なく男の車を奪おうとして失敗したこのモン族の一人の少年に同情することから、この初老の男との交流が始まるんだ。男は少年に男同士の付き合い方と職場を見つけてやるが、不良等はこの少年をボコボコにするんだ。少年には可愛いくてガッツのある姉さんがいて、男を一族との親交にいれると、自分勝手な家族よりこの一族に共感させてしまうんだ。モン族の占い師が男の人生を読んで、男の人生は過去の傷をひきずり癒されることのないまま死ぬと予言するが、男は黙って納得するしかない。死んだ奥さんと約束したと牧師が懺悔を迫るが、青二才の牧師に従う気はない。男は朝鮮戦争で13人を殺害した過去があるが、映画の最後までこの一事は懺悔されることはないんだ。男は少年の復讐に不良の一人を殴り倒すが、不良はこんどは仕返しに、姉さんを拉致してレイプ、暴行する。血塗れの姉さんをみて、復讐に燃える少年を、男は自分の家の地下に閉じこめて言う。自分の手はすでに血にまみれているが、おまえにはこれからの人生と未来がある、ここにいろと。不良の一団がいる家の前に男は丸腰で立ち、連中の銃口のまえで煙草の火を貸してくれるかと軽口を叩いて、自分の胸のポケットに右手を入れる。その瞬間、不良青年たちの銃口が一斉に火を噴き、男は蜂の巣にされて倒れるんだ。血痰を吐いてすでに末期の男は整髪をし髭を剃らし、新しいスーツをつくり、遺言を残している。家は教会へ寄付する。愛車のグラン・トリノは少年に贈ると。棺に横たわる男は新品のスーツを着て、まるで死んだ妻に逢いにいくように、埋葬されるんだ。映画の最後に、青い海と広い空が未来へ向かって走る車から、映像化されてそこに静かに、哀愁にみちたメロディーが流れる。
B:おまえの話しを聞いていると、まるで映画を観たような気になっちまうね。その最後の歌の詞もついでに聞かしてくれるかい?
A:いいとも。そこで同じ監督の映画をまた思いだしたんだ。題名は忘れたが、ギターの流しをしている男のいい映画だったよ。その流しの歌は、もっとよかったような気がするがね・・・・。ともかく、こんな歌さ。


いつに間にか 遠く過ぎ去った日々、そして未来
しっかりと大地に足を踏みしめて 想いにふける

そよ風がやさしく吹きぬける 俺のグラン・トリノを
歌い古したメロディーのように エンジンの音に重なる苦い夢

俺のハートが宿るグラン・トリノ 孤独なリズムを刻む車
夜を通して

俺のハートが宿るグラン・トリノ 孤独なリズムを刻む車
夜を通して


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Author:masuryuu
仮に「異邦人」としておく。あられもない空想から、科学的「真実」まで、詩、小説、歴史、哲学、政治、経済、趣味等、この世の人事、出来事、万般に、興味を寄せる者の総称とします。

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