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勘亭流

 家人が勘亭流を習いに浅草の八幡神社に通って十年が過ぎた。若いときに習字の研鑽は相当に積んでいたのに、なぜまた勘亭流などをと聞いたところ、そこに勘亭流があったからだと、はぐらかされた。浅草公会堂で年に一度、作品を持ち寄っての展覧会があった。数回見に行ったことがある。先生は江戸から始まった始祖の二代目ということだが、一年前ほどにお亡くなりになった。会は二派に分裂したようだが、仔細は知らない。私が若い時はスキューバダイビングと同人誌に明け暮れ、そこに居合なるものを50歳から習い始めたが、居合の大会があっても見に来たことはない。双方勝って気儘に暮らしてきたので、勘亭流について初めて家人に問うたの数日まえのことであった。互いの自治を尊重して仔細は尋ねないという暗黙の了解が慣わしとなっていたのである。
 家人は家では寡黙だが、一歩町へ出ると行き交う人が頻りと頭を下げて挨拶をする。私の知らないところで、陰徳をつんでいるらしいのである。町内のことはもとより、小学校のクラス会、大学の同窓会、ご近所の仲良しクラブや同好会やらの夜と昼の食事会、それに加えて、いつからか民生委員などもやり、役所での会合やらなんやらと、毎日のスケジュールを月初めに貰っているが、私のほうはいちいち覚えていないのだ。それで家人が出かけるとなると、「どこへ?」と要らぬ愚問をはっしてしまう。町内の行事の準備やらお金の精算、民生委員の会合となれば貰った書類の事前勉強と、真面目に糞がつくほどに絶対に手は抜かないのである。お陰でそうした書類の束や袋やらが、家人の座る場所一帯にところ狭しと並んでいて、この整理に神経をそれほど使わないのは、O型のせいなのであろう。遠慮深いというのか、自立心が太いのかは、分からな いが、当方がみても刮目すべき処が多々あると思われるから仕方ないのだ。
 偶々、家にきたき敏腕な一人の男が、ほんの一時、目と耳で見て聞いた事から、私などはその掌に乗っているだけでしょうとその炯眼ぶりを吐露したことがあった。さすがにその鋭い観察ぶりにも驚いた。星座でいえば水瓶座で私が魚座であることから、もうそれ以上言わなくても判る人には推測がつくだろう。世故に長け、気転が利く上に、なんでも真面目で一生懸命なのだ。面倒見がよく、なにごとも小まめにこなすので、地元でもどこでも好感がもたれるようである。専業主婦でおいたのが勿体ないくらいであろう。記せば山ほどに、海ほどにあるが、もうこのへんにしておこう。あまりやってしまうと、こちらが立つ瀬がなくなるからだ。
 勘亭流は歌舞伎に特有の字体だ。相撲とも寄席の字体とも異なるのだそうだ。内側に丸めて、撥ねるのも内側、余白はできる限りつくらないのは、歌舞伎興業の成功を願えばこそだという。その数点をここに掲げておきたい。



としみ鷺娘 1としみ作品 (2) 



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仮に「異邦人」としておく。あられもない空想から、科学的「真実」まで、詩、小説、歴史、哲学、政治、経済、趣味等、この世の人事、出来事、万般に、興味を寄せる者の総称とします。

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