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詩「テオ」

 友人から贈られたマリー・ローランサンの「愛の手帖」の詩を何気なく読んでいた。そのうちに、わたしも三週間ほど家にいた孫についての思いを綴っていた。


          テオ


テオよ 

おまえの穿いていた靴

大きな赤の星の飾りのある とても小さな青い靴

わたしのパソコンでは おまえがいつも笑っている

瞳は星が輝き 朱い口は天使とお話しをしているようだ

テオ おまえはパリに生まれた

私の娘とやさしいフランス人のあいだに産まれた テオよ

私はこの両の掌におまえを抱いた

おまえが泣き 笑い オムツを替えるのをみた

小さな五本の指が 私の指をにぎり

ふしぎそうに頬笑むのを。

ポンヌフの橋のうえから

一人の老人が

橋の下に流れるセーヌの河をながめている

流れ去った人と歳月の いくすじの水脈を

飽きることもなく いつまでも眺めている。

テオが大きくなったとき 私はもうこの世にはいない

だがおまえの穿いた靴 赤い星に飾られた青い靴は

この世に生きた印しとして

テオよ おまえの顔をいつまでも 思い出させるだろう

サンマルタン運河に うかぶ木の葉

明るい光に満ちた 白い雲

おまえの瞳に宿る 慈愛にみちた神さまの影のように。



                               DSC04929 (2)

  
(後記)ローランサンの本を持ってきた友人は去年(1916年)の8月5日にあの世へ旅立った。翌日で70歳だというのにだ。いつも急いでいたが、快活に笑っていた。高校、大学とハンドボールのスポーツマンだった友人が、晩年に「おれは泳げないのだ」と言ったのには驚いた。海が満ちると没してしまう浜島という小さい美しい島が沖縄にあった。青い波に洗われた島の写真葉書に、私の目の手術を励ます短い文面を残して・・・。
彼は沖縄の海に散骨された。その最後の葉書の文面こんなものだ。

 菜花茹で重ねる盃の有難さ/手術の成功を祈ります/五感の衰えは詮無きも/目玉は金よりも大事です/視え過ぎも怖いネ




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