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「星の王子さまをフランス語で読む」加藤恭子著

 サン=テクジェペリの原作「星の王子さま」はもちろんフランス語です。このフランス語を平易に読み説いてくれた本があります。もちろん、内藤濯譯の日本語の本を読んだ人も多いでしょう。著者が描いた絵が本の装丁になったいいものでした。
 サン=テクジェペリは「星の王子さま」が有名ですが、「人間の土地」や「夜間飛行」等は若い頃に、その一つぐらいは読んだ人はいるでしょう。「星の王子様」(内藤濯譯)もその日本語の素晴らしさと含蓄に富んだ内容として良書でありますが、これからフランス語を勉強しようとする人には、ちくま学芸文庫のこの手軽な本が初級者から中級者まで、文法を含めフランス語の本質を実に平易に解説した、有益な参考書であることは間違いないことでしょう。(追記:2001.11.5読了の記載あり)
 日本が真珠湾を攻撃した1941年12月8日を契機にフランスの窮状を傍観していたアメリカはヨーロッパでの参戦に踏み切りました。すでに43歳のサン=テクジェペリは優秀な飛行機乗りではなかったようですが、アメリカ軍に頼み込んで偵察飛行に参加します。1944年7月31日、コルシカのボルゴ基地を飛び立ったサン=テクジェペリはそのまま消息を絶ち、ついに帰還することはありませんでした。
 さて、「星の王子さま」の原文のフランス語は、動詞では直接法、条件法、接続法のうち、ほとんどが直接法で必要に応じて、条件法と接続法が少しまじり、語りの部分になると、直接法の単純過去、複合過去、半過去、必要に応じ大過去、現在がまざります。フランス人なら8,9歳で読める本と著者は言っています。
 「読解力をつける秘訣」で著者は冒頭に、物語の始めの5行を引用しています。

「Lorsque j’avais six ans,une fois,une magnifique image,das un livrs sur la Foret Viege qui s’appelait 《Histores Vécues 》.
ça représentait un serpent boa qui avalait un fauve.Voila la copie du dessin. 」

  英語をやった方は分るでしょうが、文頭から訳そうとしないこと、つまり全文のイメージをまず掴んでから、つぎに訳にとりかかることを著者は推奨しています。辞書と活用法はあとから確かめるために使用するのが、読解力をつけることだと著者はいいます。「読む」ことと「訳す」ことは必ずしも同じではないのだと。Le Petit Princeはフランス語で書かれ、サン=テクジェペリという個人によって生み出されたものではない。この文の背後にはフランスの文化、生活様式があり、フランス語の考え方の中で考えられ書きとめられた、フランス文化の中心に咲いた華なのだと。フランス語で書かれた内容を正確に、深く、理解しようとした後に、その「内容」を日本語ではどう表現すべきかを考える、二段階の取り組みがよいこと。まず、日本語の語順で読まない。文は頭から少しずつ読む。それがフランス人が、考え、書き、理解する語順なのだと著者は申しています。
 そして、フランス語と英語と日本語の語順を並べて、前二者と日本語の語順の違いを明瞭に提示しています。
 「動詞をマスターする」で著者は、一通りのフランス語の文法を一覧しています。「点の過去と線の過去」「接続法の世界」「ilとonの違い」「条件法過去の作り方」等です。三つの法と15の時制を説いてこの章を終わります。次章から著者の本領がでてきます。「キーワード“sérieux”」から著者の Le Petit Princeへの洞察がみえます。5の章では「星をめぐる放浪の旅」、そして6の章で「蛇と出会う」の「“ apprivioiser”の持つ深い意味」では作者のサン=テクジェペリへのふかい読解が光ります。
 「人生の苦悩を描いた抒情詩」をこの文庫本の著者は、Le Petit Princeから掴みとったわけです。



     王子さま



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仮に「異邦人」としておく。あられもない空想から、科学的「真実」まで、詩、小説、歴史、哲学、政治、経済、趣味等、この世の人事、出来事、万般に、興味を寄せる者の総称とします。

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