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歌劇「椿姫」

 ヴェルディの歌劇「椿姫」は私の好きなものです。あの最初の前奏曲から、「そは彼の人」など、みなそれぞれ楽しませてくれるものです。紹介するまでもなく、地方からパリへでてきた青年が高級娼婦と恋に落ちます。やがて第二幕だったと思いますが、故郷の父が青年を心配のあまりに歌う「プロバンスの海と大地」のアリアが、華やかなパリ生活に浮き身をやつしている息子へ、おまえはおまえを育んでくれたこのプロバンスの海と大地のふるさとを忘れたのかと、切々と歌うバリトンの声が腹のそこから響き出すのです。フィッシャーディスカウでも堀内康夫でいいのですが、その歌声を聴いてください。
 なぜこんなことを書き出したのかと申しますと、この一ヶ月のあいだ、私はプロバンス地方を旅して、ようやくに帰ってきたところだからです。70歳を過ぎて、私がパリではなくプロバンスへ足をむけたのは、ヴェルディの歌劇の故ではありませんでした。なぜ突然のように後先も顧みずフランス人でさえ行かない南仏の奥まで行こうとしたのか、それを帰国後にぼんやりと考えていた頭に、「椿姫」のあの息子を気遣う父親の心情を歌う「プロバンスの海と大地」の場面がふとこころに浮かび上がったからです。
 残念ですが、いまはここまでしか書くことができません。ちからが回復しましたら、一人で廻った南仏での経験をすこしづつでも書くことができるでしょう。その天国と地獄のいささかなりとも・・・・・。だが、いまは父親の嘆きを、その詞章だけでも綴っておくことにしましょう。

プロバンスの海と大地を おまえは忘れてしまったのか?
ふるさとの明るい太陽を なぜ忘れてしまったのだ。
思い出すがいい あそこには喜びがあった。
あそこには今でも安らぎがあるのだ。
あそこに帰れば安らぎが得られるのだ。
神様がここに 私を導いてくださったのだ。
老いた父親がどれほど苦しんだか おまえにはわからない。
おまえがいなくなって わが家はすっかり暗くなった。
しかしこうしておまえに再会し
おまえがまだ名誉をなくしていないなら
こうしておまえに再会できたのだから
神様が私の願いを かなえてくださったのだ。



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Author:masuryuu
仮に「異邦人」としておく。あられもない空想から、科学的「真実」まで、詩、小説、歴史、哲学、政治、経済、趣味等、この世の人事、出来事、万般に、興味を寄せる者の総称とします。

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